kintone と Salesforce の違い:どちらを選ぶかの条件と、途中で限界が来る場所

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kintone と Salesforce の違いは中心にあるもの

Salesforce は顧客と商談を中心に業務が広がる基盤、kintone は部門ごとの業務アプリを並べて作る基盤であることを左右に並べた図
中心にあるものが違う。Salesforce は顧客と商談、kintone は業務ごとのアプリ

kintone は、申請、案件、在庫といった業務ごとにアプリを作り、並べて使う製品です。アプリの形は自社で決めます。その代わり、業務の決まりごとを持つのは作る側です。

Salesforce は、取引先(Account)、商談(Opportunity)、リード(Lead)といった営業の標準の形を最初から持っています。売上予測やノルマも、その形の上で動きます。カスタムオブジェクトで業務を足すこともできますが、出発点は CRM です。

kintone に商談アプリを作ることはできます。Salesforce に申請の仕組みを作ることもできます(承認プロセスは Core 以上)。だから「できる、できない」で比べても差が出ません。差が出るのは、規模が大きくなったときに、自社で作り続けるのか、製品の形に合わせるのかです。

kintone か Salesforce か:条件で分ける

売上予測や権限を全社でそろえるかどうかで分け、Salesforce、kintone、併用、どちらも要らないのどれかに進む流れ図
条件で分ける流れ

編集部のおすすめの判断の条件は次のとおりです。

選ぶもの 当てはまる条件
kintone 申請、日報、案件の進み具合など、部門の業務が中心。現場の人がアプリを直したい。営業の数字は月次の集計で足りる
Salesforce 営業の人数が多く、見込みの数字を階層で積み上げる。担当と上司で見える範囲を分ける。基幹システムや MA と顧客データをつなぐ
併用 営業の組織には Salesforce の形が要り、総務、製造、物流などには別の業務アプリが多い
どちらも要らない 利用者が少なく、表計算で困っていない。業務が会計、勤怠、販売管理など専用のソフトで足りる

在庫は注意が要ります。kintone でも Salesforce でも入出庫の記録は作れます。ただ、引当、ロット、棚卸の差異まで扱うなら、専用の在庫管理や販売管理のほうが自社で持つ決まりごとは減ります。編集部としては、記録と共有までが kintone の得意な範囲で、在庫の計算を自作するのはすすめません。

kintone と Salesforce の料金の比較

金額は2026年11月1日に各社の公式の料金ページで確かめました。現在の価格は公式で確かめてください。kintone の表示は税抜です。Salesforce の円の表示には税込か税抜かの記載がありません。条件がそろわないので、下の試算の金額は目安として見てください。

製品 月額(1ユーザー) 契約 最低契約数
kintone ライトコース 1,000円 月か年(年12,000円) 10ユーザー
kintone スタンダードコース 1,800円 月か年(年21,600円) 10ユーザー
kintone ワイドコース 3,000円 月か年(年36,000円) 1,000ユーザー
Salesforce Starter Suite 3,000円 月払いか年払い 料金ページに記載なし
Salesforce Pro Suite 12,000円 年間契約 料金ページに記載なし
Salesforce Core 23,400円 年間契約 料金ページに記載なし
Salesforce Advanced 47,400円 年間契約 料金ページに記載なし
Salesforce Max 66,000円 年間契約 料金ページに記載なし

Salesforce の数字はエディションの記事と同じです。Salesforce の比較表には0円の Free Suite の列もあります。kintone の最小ユーザー数は2024年の改定で5から10に上がりました。月額で10ユーザー未満の契約は、ユーザー数やコースを変えなければ2026年10月末まで元の人数の料金でしたが、2026年11月1日以降は10ユーザーに自動で切り替わると案内されています。年額の契約は、更新のときに10ユーザー以上が必要です。

少人数だと順番が逆になることがあります。3人で kintone スタンダードコースを年契約すると、10ユーザー分の21万6,000円(税抜)です。ライトコースなら12万円(税抜)です。Salesforce Starter Suite を3人なら10万8,000円(税の記載なし)です。ただし Starter Suite はカスタムオブジェクトもカスタムアプリも0です(ヘルプの Starter の表)。アプリを作る用途の代わりにはなりません。

30人で1年使う場合の単純計算は次のとおりです。

構成 計算 年額(表示価格)
kintone スタンダードコース 21,600円 × 30人 64万8,000円(税抜)
Salesforce Pro Suite 12,000円 × 30人 × 12か月 432万円(税の記載なし)
Salesforce Core 23,400円 × 30人 × 12か月 842万4,000円(税の記載なし)

税の条件も製品の中身も違うので、この差をそのまま割高、割安とは読めません。同じ業務を載せたときの費用で比べてください。

kintone の金額に足すものがあります。プラグインと連携サービスはスタンダードコース以上で使え、サービスごとに別の契約です。料金は提供会社ごとに違います。見積では、基本料金に「使うプラグインの年額」と「カスタマイズの保守費」を足して比べてください。

Salesforce の金額にも足すものがあります。Pro Suite で API を使うなら1人月額25米ドル(税抜)の追加料金です。設定を任せる人の費用も要ります。kintone でも、アプリを保守する人の手間は同じように見てください。導入の支援を頼むなら、その費用も数年分に入れます。検討の順番は導入を迷ったときのストーリーにまとめました。

kintone で途中に限界が来る場所

kintone で限界が来やすい5つの場所として、データ量、アプリ数、権限、予実管理、連携を上から順に並べた図
kintone で途中に限界が来やすい5つの場所

データ量

kintone のレコード数に上限はありません。公式は、絞り込みやアクセス権のないアプリに100万件を入れた状態で検証したと書いています。一方で性能のガイド(2022年10月時点の記事)は、条件やアクセス権が複雑だと数万件でも影響が出ることがあるとしています。フィールドの上限は1アプリ500ですが、100を超えると表示が遅くなる場合があります。

Salesforce は容量で考えます。ほとんどのレコードは約2KBなので、10GB なら計算上は約524万件です。Starter Suite と Pro Suite は組織で10GB、Core は10GBに1ユーザー20MBが足され、Advanced と Max は1ユーザー1GBです。ファイルの容量は別枠です。カスタム項目などで大きさは変わるので、目安として使ってください。これは保存できる量の計算で、kintone の表示の速さとは別の物差しです。件数が読める会社は、数年後の件数で計算します。

アプリ数

アプリの上限はライトコースが200、スタンダードコースが1,000です。数より先に困るのは、同じ顧客名があちこちに入り、アプリごとに集計が分かれることです。

kintone のルックアップは値をコピーして保存します。元を直しても自動では更新されず、取得し直す必要があります。関連レコードは常に最新を表示しますが、集計と CSV 出力はできません。つまり「最新のまま、集計もしたい」は標準の2つでは両立しません。プラグインかカスタマイズが要ります。

Salesforce の主従関係なら、親に積み上げ集計を置けます。ただ、参照関係では使えず、数にも枠があります。詳しくは主従関係と参照関係の記事をご覧ください。

権限の細かさ

kintone の権限はアプリ、レコード、フィールドの3段階です。部門内の共有ならこれで足ります。困るのは「担当者は自分の案件、課長は課の案件、部長は部の案件」のように、組織の階層で見える範囲を変える場合です。レコードのアクセス権の条件が増えていき、公式のガイドも、設定の数が多い場合や、対象者にフィールドの値を使う場合は遅くなることがあると書いています。テーブルの中のフィールドには権限を設定できません。フィールドの権限には、指定した組織の下の組織へ引き継ぐ設定もあります。

Salesforce は、組織の共有設定で基準を閉じ、ロール階層と共有ルールで開く考え方です。上司が部下のレコードを見る形を、オブジェクトごとに作らずに済みます。その代わり設計を間違えると直すのが大変です。共有モデルの記事と権限セットの記事を先に読んでください。

営業の予実管理

編集部が最も差が出ると見ているのがここです。kintone の基本機能の一覧に、売上予測や予実管理の項目はありません。アプリで作る形になります。目標と実績を別アプリで持つなら、ルックアップやプラグインで突き合わせます。グラフの説明はアプリに蓄積したデータの集計なので、別のアプリの数字を並べるには工夫が要ります。プラグイン・連携サービスの例には営業・顧客管理も挙がっています。

小さいチームなら、これで回ります。詰まるのは次のような要件が出たときです。

  • 担当、課、部の順に見込みを積み上げる
  • 上司が見込みの数字を調整し、調整前の数字も残す
  • 先週の時点の見込みと今の見込みを比べる
  • 四半期ごとの目標と達成率を階層で見る

Salesforce の売上予測には、これらに当たる仕組みがあります。階層の積み上げ、ノルマと達成率、マネージャーの調整、時点の記録です。調整は元の積み上げの数字を変えず、提出の時点の数字も残ります。ただし、上司のノルマの積み上げは手作業と公式に書かれていて、すべてが自動ではありません。

エディションの差もあります。料金ページでは Pro Suite の説明に売上予測があり、高度な売上予測とパイプライン管理は Core 以上です。週ごとの変化のグラフはヘルプで Enterprise と Unlimited(旧名)が対象で、比較表の組み込み売上予測チャートも Core 以上です。AI で予測する「売上予測」の行は Core で追加購入、Advanced 以上に含まれます。使える範囲は契約前に確かめてください。

レポートの作り方はレポートタイプの記事で扱っています。

連携とプラグインの費用

kintone のライトコースは API もプラグインも使えません。連携が1つでもあるなら、スタンダードコース以上が前提です。スタンダードコース以上には、サイボウズの連携コネクタ(kintone、Garoon、Microsoft 365 の主要サービスをつなぐオプション。3,000ステップまで月額0円)もあります。REST API の主な枠は次のとおりです。

  • 1アプリ1日1万リクエスト(スタンダードコース)。ワイドコースは10万
  • 同時接続は1ドメイン100
  • 取得は1回500件、登録と更新は1回100件

1日の数を超えると、翌日に管理者へメールが届きます。公式は、サイボウズから確認の連絡をすることや、他の環境に重い影響が出るときは処理を中断することがあると書いています。減らすのが難しい場合はサポートへの相談が案内されています。ワイドコースの10万は相談できる枠ですが、この枠のためだけに移るのは編集部としてはすすめません。最小1,000ユーザーなので、年額で3,600万円(税抜)になります。

プラグインは1アプリ20個までです。数が増えると、提供会社ごとの契約、更新、kintone の変更への追従を誰かが見ることになります。Salesforce の連携は別の形で考えます。外部連携パターンの記事が参考になります。

比較表:限界の出方を並べる

項目 kintone Salesforce
中心 自社で作る業務アプリ 顧客と商談の標準の形
データ 件数の上限なし。ディスクは5GB × ユーザー数 データ容量は Pro Suite まで10GB/組織、Core は+20MB/ユーザー、Advanced と Max は1GB/ユーザー。ファイルは別枠
作れる数 アプリ200〜3,000(コース別) カスタムオブジェクト Starter Suite 0、Pro Suite 50、Enterprise 200、Unlimited 2,000
権限 アプリ、レコード、フィールド 組織の共有設定、ロール階層、共有ルール、権限セット
承認 プロセス管理(基本機能) 承認プロセスは Core 以上
自動化 プロセス管理、通知、アプリアクションが標準。複雑な処理はプラグイン、カスタマイズ、連携コネクタ Flow。Starter Suite にはなし、Pro Suite は5つまで
売上予測 基本機能の一覧になし Pro Suite に売上予測、Core 以上に高度な売上予測
API スタンダード以上。1アプリ1日1万(アプリごとの枠) Core 以上に標準。Pro Suite は1人月額25米ドル(税抜)追加(組織全体の枠)

表の数字は単位がそろっていません。kintone のアプリと Salesforce のカスタムオブジェクトは同じものではなく、kintone のディスクと Salesforce のデータ容量も数え方が違います。Salesforce の上限のうち Enterprise と Unlimited は、公式ヘルプの旧名のまま載せています。Core と Advanced の上限は営業担当に確かめてください。kintone のプロセス管理がライトコースで使えるかは、料金表に行がなく確かめられませんでした。申請が目的なら契約前にお問い合わせください。

Salesforce で詰まる場所

Salesforce にも向かない場面があります。数字は公式のもので、向き不向きの判断は編集部の見方です。

  • 全社員に配れない。Core は1人月額23,400円です。申請のためだけに配ると費用が合いません。Platform Starter(3,000円、カスタムオブジェクト10)という手もありますが、ヘルプによると Platform のライセンスでは商談、リード、売上予測といった標準の機能は使えません。
  • Pro Suite の枠が小さい。Flow は5つ、権限セットは10、API は追加です。部門の要件が増えると埋まりやすく、Core との差額が問題になります。
  • 管理者が要る。現場が自分で直す kintone の使い方と違い、設定の変更を受ける人が要ります。担当がいないまま入れると、入力されない CRM になりやすいです。
  • 標準の形に合わせる必要がある。リードの取引開始や商談の段階は、業務を寄せたほうがうまくいきます。自社の言葉のまま作り直すと、製品を選んだ意味が薄れます。リードと取引先の記事で流れを確かめてください。

併用するときに決めること

100人の会社で営業が30人の場合の、表示価格の単純計算です。連携と構築の費用は入れていません。kintone は営業を含む100人、Platform Starter は営業以外の70人で数えています。

構成 計算 年額
Core 30人+kintone スタンダードコース100人 842万4,000円+216万円(kintone の分だけ税抜) 1,058万4,000円
Core 30人+Platform Starter 70人 842万4,000円+252万円 1,094万4,000円

税抜と税の記載なしの金額を足した目安で、kintone の分に税がかかれば差はさらに縮まります。差は小さいので、金額より運用で選びます。データを1つの組織に置きたいなら Platform、現場が自分でアプリを直したいなら kintone です。Platform は作れる数の枠が小さいことも見てください。

併用で先に決めることは次の4つです。

  1. 取引先の正はどちらか。編集部のおすすめは、顧客は Salesforce に置き、kintone は読むだけにすることです。
  2. 両方に共通の ID を持たせる。名前でつなぐと表記ゆれで壊れます。
  3. API の枠を計算する。kintone は1アプリ1日1万、Salesforce は Enterprise(旧名)の場合で10万+Salesforce ライセンス数×1,000 が組織全体の24時間の枠です。アプリごとと組織全体で単位が違うので、数字をそのまま比べないでください。
  4. 同期の向きと頻度を決める。全件を毎回同期する作りは、枠を使い切る原因になります。

kintone から移すときは、データの読み込みの枠も見ます。kintone の CSV の読み込みは1ファイル10万行までです。Salesforce への移し方はデータローダの記事で扱っています。

比べるときの順番

編集部のおすすめの順番です。

  1. 業務を書き出し、営業の数字に関わるものとそれ以外に分ける。
  2. 使う人数を業務ごとに数える。kintone は10人、1,000人の線も見る。
  3. 3年後の件数、連携の相手、見える範囲の階層を書く。
  4. 基本料金にプラグイン、保守、担当者の費用を足す。
  5. 両方の30日の無料お試しで、一番つらい業務を1つ作ってみる。

kintone の無料お試しはスタンダードコースで30日、Salesforce の Sales Cloud も30日です。設計の全体は設計ガイドにまとめました。

よくある質問

kintone と Salesforce の違いは何ですか?
kintone は業務ごとのアプリを自社で作る基盤で、Salesforce は顧客と商談を中心にした CRM の基盤です。kintone に商談アプリは作れますが、売上予測やノルマの仕組みは Salesforce の Pro Suite 以上に製品として用意されています。
kintone と Salesforce の料金はどちらが安いですか?
2026年11月1日の表示で、kintone スタンダードコースは1ユーザー月額1,800円(税抜)、Salesforce の Core は23,400円(税の記載なし)です。ただし kintone はプラグインの費用が別で、中身が同じ製品ではないので、金額だけでは比べられません。
kintone の最低契約ユーザー数は何人ですか?
kintone の最小ユーザー数は、ライトコースとスタンダードコースが10、ワイドコースが1,000です。月額で10ユーザー未満の既存の契約も、2026年11月1日以降は10ユーザーに自動で切り替わると案内されています。
kintone と Salesforce は併用できますか?
併用できますが、連携には両方の API が要ります。kintone はスタンダードコース以上、Salesforce は Core 以上か、Pro Suite に有料で追加です。顧客データをどちらが持つかを先に決めてください。